大学入試で問われる能力と出題傾向

大学入試において、出題者の意図を知ることは、入試対策を進めるうえで重要なヒントとなります。ここでは、最近の大学入試で頻繁に出題されるテーマや内容、さらには大学側が受験生にどのような能力を求めているのかを教科別に紹介していきます。今後、志望校の出題傾向を分析する際に参考にしてみてください。

受験生の素養を見るための出題が増える

ここ数年の入試問題の全体の傾向として、深く細かな知識を必要とする問題が減り、読解力を前提に論述力や課題解決力を図る問題が増えています。以前は単により多くの知識を持っていることが評価されていました。しかし、変化が激しい現代社会においては、膨大な情報の中から要らないものを捨て、新しいものをどんどん取り入れていく学習能力や、今まで得た知識から対処法を見出していく創造力、さらには人とのコミュニケーションを図るうえで欠かせない論理的思考が重視されていることがわかります。また、英語・理科・地歴公民を中心に、より現代的なテーマを扱った出題が増えています。受験でしか必要としないテーマではなく、今後の大学生活、さらには社会に出てからも役立つ実用的なテーマや、学部・学科の専門領域に関する関心の度合いを測るためのより専門的な内容も増えています。

英語は実用英語を重視する傾向に

英語は、時代の変化に合わせて、求められる英語力が変わってきています。国際社会でも通用する実用英語に重点を置く傾向が強くなっています。また、学部と関連が強いテーマを扱った出題が頻出で、専門用語の習得が避けられません。和訳問題は文脈に合わせて訳す力を試す問題が増加。英文は文章量が増え、速読しながら必要な情報を取捨選択する能力が問われていることがわかります。内容的には時事的なテーマを扱う出題が増え、単語の推測はしやすくなっています。文法問題は語法や語彙を問う問題が増加。慣用表現も多く出題されています。英作文は上位校を中心に自由課題英作文が増え、表現力や論理的構成力を問う出題が目立ちます。整序は文中ではなく大問として独立し、記号化が図られています。会話問題は長い会話読解が多く、文脈把握が重要になっています。

数学は上位校で難化。それ以外では易化の傾向

上位校では、解法が多岐に及ぶ問題や類型化が難しく発想力を要する問題、高い読解力を要求する問題がよく出題されています。また、膨大な計算を速く正確に成し遂げる力や論理的思考力、図形センスを問う出題も増加の傾向にあります。上位校以外の大学では、出題内容が易化し、パターンで解ける典型問題や基本問題が中心の出題になっています。

現代文は難易度に変化なし。古文は「敬語」問題に注意

現代文は、ここ数年、出題の難易度に変化はありません。古文は、近世の文章からの出題が増えていて、現代語に比較的近いため、易化する傾向にあります。一方、難易度の高い敬語は変わらずよく出題されています。また、最近特に増えているのは、語句の意味や部分訳を問う問題です。文法問題も識別といった難しい問題ではなく、基本的な内容を確認する問題が多く出題されています。

歴史は、記述問題が減少しやや易化する傾向に

歴史は、出題に世相を反映する傾向があり、「東西交流」や「世界の中の日本」をテーマにした出題が増えています。また、ラテンアメリカや東南アジア周辺地域がクローズアップされてきているので注目しておいてください。国公立大、私立大を問わず、問題が易化する傾向にあり、人名や語句を記述する問題は減少し、選択問題が増加。さらに史料問題は増える傾向にあり、マニアックなものよりも一般的によく知られたものを中心に出題されています。社会科学系の学部では、近現代からの出題が特に多く、○周年系の問題は頻出です。図表や図説に載っている数字や写真がよく出るので要注意です。

理科では高度な知識を問う問題が増加

生物は問題文を解読し、データや資料をきちんと分析・解釈できれば解答できる出題が増えています。出題テーマは大学の専門領域にまで踏み込んだものが多く、あまりに最先端すぎて教科書では対応できない出題もあります。問題文が長く、問題集でも類を見ない問題もあり、知識ではなく読解力と推論力が重視されていることがわかります。物理は、上位校において、資料やデータ、前提条件を見て、その場で考えて解くといった、物理的思考力を試す傾向が強いようです。化学は、国公立大の記述問題で字数制限を設けるところが増えているので注意しましょう。