変わりつつある大学教育と就職支援の実情

近年、多くの大学では、学生の質を高めることを目的に、授業方法やカリキュラムなど、さまざまな教育改革が進められています。また、学生の就職支援のための新たな試みが各大学で始まっています。これらの情報を、志望校選択の材料にしてください。

「教育改革」

みなさんは大学生活について、どのようなイメージを持っていますか?大学では高校のように長い時間学校に拘束されることがないため、部活動やサークル活動、アルバイトや趣味などを、余裕を持って楽しめると思っている人も多いでしょう。確かに大学は高校と違って何事も学生の主体性に任されている部分が多く、自由な時間はたくさんあります。また、ひと昔前までは、卒業に必要な単位数を取得し、就職活動さえ頑張ればそれなりの企業に就職できる時代でした。

しかし、国際化や情報化による国内外の競争が加速する現代社会において、大学卒業者に対する企業や社会からの要求がより高くなっていること、さらには大卒生の就職内定率は上昇傾向にあるものの、社会経済のグローバル化が進む現状を受け、大学では学生の質を高めることを目的に、さまざまな教育改革に着手し始めています。

「成績評価」

かつて、大学は研究をするところであり教育はその次、という考えが根強く残っていました。大学の教員は自らの研究が主となっていて、より多くの論文を発表して、どう評価されるかを重要視していたのです。

しかし、少子化の影響を受け大学進学率が向上したことで、学ぶ意欲に乏しい大学生も増えたことから、大学自体が教育機関としての見直しを迫られることになりました。そのひとつが成績評価の見直しです。

近年新しい成績評価の指標として導入されているのが「GPA制度」という方式で、多くの大学ですでに導入されています。これは授業ごとの成績を5段階で評価したものに、グレード・ポイント(GP)を付与し、全履修科目の平均を算出するものです。その中身は、かつてのように取得した単位数ではなく、不可も含めた成績平均値で卒業要件を設定する内容です。この制度には学習効果を自分自身で把握することができるメリットがある反面、学生にとっては勉強に関する締め付けが強くなる結果を生みました。また、卒業可能となる基準を下回っている学生に対しては、大学職員による面談を実施したり、保護者に学修状況を文書で通知したりするなど、早い段階で学修指導を行う大学も増えています。これらのきめ細やかな指導の効果として、制度導入前よりも退学者が減少するなどの効果をあげているようです。

「リメディアル教育」

大学進学者が増える中、進学動機が希薄で、学ぶ意欲に欠けた学生が増えていることや、入試方式の多様化によって新入生の学力にばらつきが生じていることを受け、大学側は1年次の教育により力を注ぐようになりました。

入学前に中学や高校内容についての通信添削講座を実施する大学や、専門科目の入門本についてのレポート提出といった課題を出す大学も増えています。また入学後もリメディアル教育と呼ばれる補習授業を行う大学も多くあります。これは大学の講義についていくために必要な基礎力を補うための補習授業で1:1の個別授業を行う大学や、下位生30%を対象に授業時間を2倍にする大学、中には県内の高校へ大学生を派遣して授業を受けさせるという大学もあります。さらには入学直後、新入生の学力を客観的に判断し、レベルに応じた習熟度別クラス編成を行うためのプレイスメントテストを実施することも珍しいことではなくなってきました。

上記同様、入学直後には新入生のためのオリエンテーションの一環として、フレッシャーズ・セミナーが実施されます。コンピューターの使い方やレポート・論文の書き方、図書館の使用方法といった学習技術に関することや、授業の受け方やノートの取り方、時間管理法といった学習指導、さらには自炊指導や健康管理といった生活指導に関することまで、丁寧なサポートを行う大学が増えてきています。

「カリキュラム改革」

カリキュラム自体についても、大学ごとに独自の改革が行われています。かつては主専攻のみでしたが、近年では主専攻のほかに副専攻制度を導入する大学、さらには主専攻を2つ設定する大学もあります。自分の専門のほかに、他の学科やテーマに関連する科目を履修することによって興味の幅を広げ、複眼的な思考力を身につけるのが目的です。同じように、学部の垣根を越えて横断的に学べるカリキュラムも多くの大学で採用されています。他学部の授業を聴講できるのはもちろん、履修することで単位として認定される制度も総合大学を中心に多く取り入れられています。

また教養教育が見直されつつあり、「〇〇(大学名)スタンダード」というように、全学部共通の講座を受講するリベラルアーツ教育を取り入れている大学も増加の傾向にあります。さらに、外国語教育では、実用英語を習得するためのカリキュラムやディベートを主体とする授業を取り入れている大学が増加、さらには特別授業として実業界の第一線で活躍する企業人を講師として招く実学志向の大学、また海外の協定大学との相互認定により、一定の期間中に両大学の学位を取得できるダブルディグリー制度を導入している大学など、独創性の高いさまざまな工夫を凝らした改革が多くの大学で進められています。

「インターンシップ」

就職に向けたキャリア支援の一環として、資格取得に向けた取り組みも各大学で盛んに行われています。将来の職業に直結した資格を複数取得する学生が増加していることを受け、大学側も試験対策のための特別講座を定期的に開催しています。受験料の全額または一部を負担してくれる大学もあります。

また、在学中に企業や団体などで一定期間就業体験をする「インターンシップ」には、多くの大学が力を注いでいます。これは大学生がそこで働く社会人と同様の業務を経験するもので、就職活動に向けての準備としてだけでなく、ビジネス体験を通じて自分の適性を知り、進むべき方向性を定めるのにも非常に効果的です。インターンシップにはいくつかの種類がありますが、最も一般的なのは1週間から1カ月の間、実際の職場で仕事を体験するものです。中には1年以上の長期にわたるものもあり、各部署に配属され、社員同様、仕事の成果を求められる実践型もあります。受け入れ企業は一般企業をはじめ、地方自治体、NPO法人、さらには外資系企業の現地スタッフなど実にさまざまで、業種や職種、就労期間、目的によって、自分自身で選択することになります。しかし、人気企業には応募が殺到するため、就職活動と同様に面接などの選考試験を課す企業もあります。応募には、個人的に応募する方法と大学のキャリアサポートセンターなどを通じて応募する方法の2つがあり、多くの大学では積極的な参加を呼び掛けるなど、熱心な支援活動を行っています。

さらに近年、同じ大学の卒業生で組織される校友会活動も見直されつつあります。慶應義塾大の三田会、早稲田大の稲門会、一橋大の如水会、東京経済大の葵友会など、歴史ある大学では卒業生のネットワークが構築されており、企業とのパイプを生かした就職活動も盛んに行われています。

大学の就業力が問われる時代を迎え、各大学で教育制度に見直しや学生一人ひとりの希望に応じた、きめの細かい就職支援が強化されつつあります。各大学の学校案内やホームページなどで、このような取り組みが詳しく紹介されていますので、自分自身が描くキャリアプランと照らし合わせたうえで、志望校選択の参考にしてください。

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